世界中で高く評価されているジャパニーズウイスキー。その中でも近年熱い視線を集めているのが、全国各地で個性を競い合う「クラフト蒸溜所」の存在です。
今回は、ウイスキー製造免許の取得が1919年という日本屈指の歴史を持ちながら、今もなお職人の手によって丁寧にウイスキーを造り続ける兵庫県・江井ヶ嶋酒造の「あかしシェリーカスク」をレビューします。
瀬戸内海の穏やかな海風が吹き込む海沿いの蒸溜所で、厳選されたシェリー樽によって熟成されたこの1本。グラスに注いだ瞬間に広がる甘美な香りと、クラフトウイスキーならではの力強い個性をじっくりと紐解いていきます。
我が家のあかしシェリーカスク晩酌ノオト
いつも飲んでいるスコッチや大手メーカーの洗練されたボトルとは少し違う、造り手の顔が見えるようなクラフト感。期待に胸を膨らませながら、赤みがかった美しい琥珀色の封を切りました。
テイスティングレポート

まずは全体的な印象から。グラスに顔を近づけると、赤い果実やレーズン、微かにカカオの香りが漂います。スパイス感は控えめで甘さが際立っており、非常に飲みやすそうな香りです。一口含むと若干のアルコールのピリつきはあるものの、蜂蜜やレーズンを思わせる強い甘味とフルーティさが広がり、シェリー樽熟成の恩恵をしっかりと実感できます。
香り(Nose)
グラスに注ぐと、まず立ち昇るのはシェリー樽由来のダークチェリーやレーズンのような赤い果実の甘い香り。そこへ、ビターチョコレートやローストしたナッツの香ばしさが重なります。深く嗅ぎ込むと、ほんのわずかに潮風を思わせる微かなミネラル感が顔を出します。甘さが強いのでスパイスを感じることもなく、誰もが抵抗なく受け入れられる香りです。
味わい(Palate)
口当たりは非常にリッチで滑らか。ドライフルーツのパウンドケーキを思わせる濃厚な甘味と、麦芽のしっかりとした旨味が口いっぱいに広がります。シェリーカスク特有の華やかさ、微かに感じる心地よいウッディな渋みが、ただ甘いだけではない複雑な奥行きを感じさせてくれます。
余韻(Finish)
ドライイチジクのような落ち着いた甘みがスッと引いた後、カカオのほろ苦さと、微かなスパイシーさが舌の上に長く留まります。リッチでありながらも嫌なベタつきはなく、静かな波のようにゆっくりと消えていく上品なフィニッシュです。
【テイスティング総評】
日本のクラフトウイスキーの底力をまざまざと見せつけられる1本です。濃厚なシェリー樽の個性をしっかりと引き出しつつも、原酒の持つ麦の力強さや、熟成環境の個性が絶妙なバランスで成り立っています。穏やかな気候の中でじっくりと育まれた「海の恵み」を感じられる、非常に満足度の高いウイスキーです。
おすすめの飲み方とペアリング
- ストレート・トワイスアップ:リッチな甘みと香りを堪能
「あかしシェリーカスク」の持つ濃厚な果実味と香ばしさを味わい尽くすなら、やはりストレートが一番です。少しアルコールのアタックが強いと感じる場合は、常温の水を数滴垂らす(トワイスアップ)と、閉じていた香りが一気に華やかに開き、よりまろやかな口当たりを楽しめます。 - オン・ザ・ロックス:少し注意が必要かも?
ちなみにオン・ザ・ロックスで飲んでみたところ、冷えることでシェリー樽特有のネガティブな部分であるゴムっぽさを拾いやすくなり、渋みも少し前に出てきちゃった気がします。個人的には常温か、思い切って割るのがおすすめです。 - ハイボール:スッキリ爽快、なのにフルーティー
炭酸ではじけることで重厚な甘みがスッキリとした爽快感に変わり、その奥からシェリー樽由来のフルーティーな香りがふわりと立ち上がります。クラフトウイスキーならではのほんのりとした「ウッディな渋み」が後味を引き締め、食中酒として抜群のポテンシャルを発揮します。
おすすめのペアリング
このウイスキーの濃厚な甘みとほろ苦さには、カカオ分の高いビターチョコレートや、レーズンバター、ドライイチジクなどがぴったりです。
ただ、ストレートよりもハイボールを楽しみたいという方も多いと思いますので、今回はあえて「マヨネーズをかけたお好み焼き」をおすすめします!

たっぷりと塗られたお好み焼きソースの濃厚な甘み。そこにマヨネーズの酸味とまろやかなコクが加わった、あの堪らないジャンクな味わい。ここへ「あかしシェリーカスク」のハイボールを流し込むと、ウイスキーの持つ果実味がお好み焼きの甘みと絶妙にリンクし、最後に残る心地よい渋みが、口の中のソースとマヨネーズの油分をサッパリと洗い流してくれます。気取ったおつまみも良いですが、日常の食卓に並ぶアツアツのお好み焼きとクラフトウイスキーの組み合わせは、まさに互いの良さを引き立て合う最高のマリアージュです。
あかしシェリーカスクはこんな方におすすめ
- 大手メーカーとは違う、日本のクラフトウイスキーの個性を楽しみたい方
- マッカランなどのシェリー樽熟成ウイスキーが好きな方
- 食後のデザート代わりに、濃厚でリッチな甘みのあるウイスキーを探している方
- 瀬戸内の穏やかな気候と職人の手仕事が生み出したストーリーに惹かれる方
価格帯からしても、しっかりとシェリー由来の香りと味わいが楽しめる、非常にリーズナブルで素晴らしい国産クラフトウイスキーのボトルですね。
まとめ
歴史あるクラフト蒸溜所が、瀬戸内の海風と共に育んだ「あかしシェリーカスク」。その一本には、大手の洗練されたブレンドとはまた違う、造り手の情熱と土地の個性がギュッと詰まっていました。

たまには海風を感じるような日本のクラフトウイスキーで、いつもとは違う晩酌を楽しんでみてはいかがでしょうか。「あかし」のラベルを見かけたら、ぜひその奥深い世界を体験してみてください。
今夜の晩酌ノオトはここまで。皆様も、素晴らしいウイスキーとの出会いがありますように!
