世界中のウイスキーファン垂涎の的となっている、埼玉県・秩父蒸溜所が手掛ける「イチローズモルト」。今回は、そのアイコニックな「リーフシリーズ」の中から、黄金色の葉っぱが目印の「ミズナラウッドリザーブ(通称:MWR)」をレビューします。
複数の蒸溜所のモルト原酒をヴァッティング(ブレンド)し、日本固有のオーク材である「ミズナラ樽」で後熟させたピュアモルトウイスキー。グラスを回せば、お香を思わせるオリエンタルな香りと、アイラモルト好きもニヤリとするピートの余韻が立ち上ります。世界を魅了するジャパニーズオークの魔法を、じっくりと紐解いていきましょう。
我が家のイチローズモルトMWR晩酌ノオト
いつものアイラモルトのガツンとした潮風とは一味違う、静謐で奥深い日本の森の空気。コルクを抜いた瞬間に漂う高貴な香りに、思わず居住まいを正したくなるような特別な1本です。
テイスティングレポート
まずは全体的な印象から。グラスに注ぐと、ミズナラ樽特有の「白檀(びゃくだん)」「伽羅(きゃら)」と表現される、お香のような深く甘い香りが部屋に広がります。そしてその奥底に、私が愛してやまない「ピート(泥炭)」の心地よいスモーキーさがしっかりと隠れているのが最大の魅力です。

香り(Nose)
トップノートは非常に華やかでオリエンタル。お寺や高級なお香を思わせる白檀の香りに、ココナッツや熟したバナナ、そして桃やマンゴーのような甘いフルーティーさが絡み合います。深く嗅ぎ込むと、穏やかでありながら確かなピートの煙たさが顔を出し、複雑な表情を見せてくれます。
味わい(Palate)
口当たりはなめらかで、ハチミツや黒糖のようなコクのある甘みが広がります。そこへ、ミズナラ特有の少しスパイシーでウッディな渋みが追いつき、味わいをグッと引き締めます。甘さとスパイシーさのバランスが絶妙で、一口ごとに様々なフレーバーが押し寄せてきます。
余韻(Finish)
心地よい木の渋みから ビターさが現れると共にカフェオレのような優しいカカオのニュアンスが感じられます。甘いお香の煙が静かに消えていくような、非常に上品でドラマチックなフィニッシュです。
【テイスティング総評】
ミズナラ樽の「オリエンタルな甘み・渋み」と、ピーテッドモルトの「スモーキーさ」という、一見ぶつかり合いそうな2つの個性が奇跡的なバランスで調和しています。和の静けさの中に力強さを秘めた、まさにジャパニーズウイスキーの傑作と呼ぶにふさわしいボトルです。
おすすめの飲み方とペアリング
- ストレート・トワイスアップ:白檀の香りを解き放つ
ミズナラ樽の繊細かつ複雑な香りを余すことなく楽しむなら、まずはストレートで。グラスの中で時間が経つにつれて香りが開いていく変化を楽しめます。常温の水を数滴加えるトワイスアップにすると、お香のような甘い香りがさらにブワッと花開き、至福の空間に包まれます。 - ロック:ウッディな渋みを楽しむ
口当たりはよりマイルドに、そこからの甘味とミズナラ由来のビターな木質感とピートの骨格がスッと前に出てきます。ゆっくりと氷を溶かしながら、変化していく味わいを静かに楽しむ夜におすすめです。 - ハイボール:贅沢すぎる「香るハイボール」
イチローズモルトMWRで作るハイボールは、まさに極上。炭酸で弾けることで、ココナッツのような甘い香りとスモーキーさが爽やかに喉を駆け抜けます。食中酒としても非常に優秀です。またミズナラといえば白檀の香りとよく言われますが、ハイボールが一番感じやすいかもしれません。
おすすめのペアリング

この繊細で奥深いミズナラ香とピートの余韻には、「自家製スモークナッツやダークチョコレート」の組み合わせが最高です。ミズナラのウッディさと燻製のスモーキーさ。同じ「木」と「煙」の要素を持つもの同士、マリアージュの相性は抜群です。
そして今回おすすめするのは「紅茶のバウンドケーキ」です。
紅茶の香りとバウンドケーキの甘味が、とんでもなくイチローズモルト ミズナラウッドリザーブに合います。もしかするとホット紅茶にイチローズモルト ミズナラウッドリザーブを入れてもめちゃくちゃ美味しいんじゃないかと思わせるペアリングでした。
イチローズモルトMWRはこんな方におすすめ
- ミズナラ樽特有の「お香(白檀)」のような香りを楽しみたい方
- 強すぎない優しいピートの効いたスモーキーなウイスキーが好きな方
- いつもとは違う、特別感のあるジャパニーズウイスキーを探している方
- 香り高く、ゆっくりと時間をかけて味わうお酒が好きな方
決して安価なボトルではありませんが、ジャパニーズオークが織りなす唯一無二の香りは、一度は体験する価値がある素晴らしいものです。
まとめ

秩父の自然と職人の技、そしてミズナラの樽が魔法のように生み出した「イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ」。
いつもの賑やかな食卓も良いですが、たまには部屋の照明を少し落として、静かに香りと向き合う晩酌はいかがでしょうか。金色のリーフラベルを見つけたら、ぜひその奥深い「和の薫り」に酔いしれてみてください。
今夜の晩酌ノオトはここまで。皆様も、素晴らしいウイスキーとの出会いがありますように!
