ジャパニーズウイスキー人気を牽引し、今や世界中のウイスキーファンから熱狂的な支持を集めるサントリーのシングルモルト「白州(はくしゅう)」。その中でも、熟成のピークを迎えた原酒を丁寧にヴァッティングして作られる「白州12年」は、現在でもなかなか定価でお目にかかることができない特別な1本です。
「森の蒸溜所」と呼ばれる豊かな自然環境が生み出す、新緑のような爽やかな香りと奥深い果実味。今回は、そんな希少な「白州12年」の封を開け、その確かな実力と魅力をじっくりと紐解いていきます。
我が家の白州12年晩酌ノオト
何気ない週末に私にとっては大事件が発生するのです。それはいつもの近所のスーパーの酒売り場での事でした。
そこから数十分経過してもみなみは妻の元には現れない。
みなみがゆっくりとガラスケースを指差す先にはなんと白州12年が3本も並んでる。
世界中が魅了される理由を確かめるべく、今夜の晩酌は少し背筋を伸ばして、この白州12年をお持ち帰りすることになりました。
テイスティングレポート

香り(Nose)
グラスに鼻を近づけると、香りは意外と甘いバニラ香。そこからスッキリとした酸味を感じる青リンゴのようなフルーツ香、そして白州の特徴でもある若葉や ミントを思わせる新緑のフレッシュな香りがします。 その奥に、ジャスミンのようなフローラルな華やかさと、微かに甘く柔らかい樽香が心地よく漂います。
味わい(Palate)
口に含むとクリーンな酸味のある キレのある口当たり。ふんわり洋梨やクッキーのような甘みが広がります。白州ならではの軽快さに、12年という熟成期間がもたらす深みとまろやかさが絶妙なバランスで調和しており、フルーティーでありながら、決して甘ったるくならない凛とした味わいです。
余韻(Finish)
爽やかな青々しさがスッと抜けた後、ふわりと心地よいスモーキーさが現れます。ガツンとくるアイラモルトやタリスカーの力強いピート香とは全く異なる、森の静寂を感じるような、奥ゆかしく上品な薫香が長く続きます。
【テイスティング総評】
「森の蒸溜所」というコンセプトを、グラスの中で完璧に体現している1本です。フレッシュな爽快感の中に、長期熟成ならではの複雑な甘みと、控えめながらも確かな存在感を放つピート香が見事に調和しています。パンチのあるウイスキーの合間に飲むと、この繊細で完成度の高い味わいには思わずハッとさせられます。日本のウイスキーの精細なブレンド技術が詰まった、まさに世界を魅了する名酒と言えます。
白州NA(ノンエイジ)との比較
実際にノンエイジ(NV)の白州と飲み比べてみると、熟成期間によるキャラクターの違いがはっきりと分かります。
まず香りですが、白州の代名詞とも言える「ミント感」や「森林のニュアンス」は、実はノンエイジの方がダイレクトに、そして力強く感じられます。一方の白州12年は、樽由来のバニラ香が強まっており、森の香りを包み込むような、より丸みのあるふくよかなアロマへと進化しています。
口に含んだ際もその違いは明確です。ノンエイジが持つ、青リンゴのような爽快でフレッシュなフルーティーさに対し、白州12年は少し熟成された果実のような、落ち着いた甘味を伴っています。若々しいエネルギーのノンエイジと、落ち着きと深みを増した12年。同じ「森の蒸溜所」から生まれた兄弟でありながら、はっきりとした個性の違いを楽しめます。
おすすめの飲み方とペアリング
この個性の違いを踏まえると、おすすめの飲み方も明確に変わってきます。
ストレート・ハイボール
白州12年の持つ、熟成された果実の甘みと奥深い爽やかさを最大限に味わうなら、ストレートが絶対におすすめです。夕食後、ゆっくりと時間をかけてグラスを傾けるリラックスタイムにぴったりです。
ハイボールにすると、思いの外甘味がしっかりと感じられます。それこそ青りんごのような甘さと酸味を併せ持つフルーティさに、やはりバニラと蜂蜜の甘味がいいですね。凄くスッキリとした味わいで、ハイボールにしても森のような若葉のニュアンスも感じられます。この爽快感が白州ハイボール人気の秘密ですね。
ちなみにロックではビターさが前に出てきて少し勿体ないような気がしました。
ペアリング:おすすめは蟹
ストレートにペアリングするならレーズンやイチジクなどのドライフルーツ、あるいはシンプルなビターチョコレートがおすすめですが、実はストレートだろうがハイボールだろうが間違いなく最高の組み合わせなのが「蟹」です。

今回はスーパーで売っているような蟹の爪の部分に、蟹酢をかけて合わせてみました。繊細な味わいのカニでも、白州12年なら、味わいを損なうこと無く、爽快な味わいと穏やかな甘味でお互いを称え合うかのような相乗効果でとても美味しかったですね。白州らしさのある新緑っぽさといいますか、爽快さを感じるのも蟹の味わいを引き立ててくれます。
白州12年はこんな方におすすめ
ここまでのテイスティングや比較を踏まえて、白州12年は以下のような方に特におすすめしたい1本です。
- ジャパニーズウイスキーの繊細で奥深い熟成感を体感したい方
- 強烈なピート香よりも、控えめで上品なスモーキーさをじっくり楽しみたい方
- 普段は白州ノンエイジを愛飲しており、ワンランク上の甘みと余韻を知りたい方
- 一日の終わりのリラックスタイムに、ストレートで静かにウイスキーと向き合いたい方
国産ウイスキーらしい日本のスモーキーさを感じたい方に特におすすめで、穏やかな甘味とスモークを感じるウイスキーを求めている方は間違いない1本です。
まとめ

入手困難な状況が続く「白州12年」。しかし、ひとたびグラスに注げば、その希少性にも深く納得してしまうほどの圧倒的な完成度を誇ります。
ノンエイジの若々しく弾けるような森の息吹も素晴らしいですが、12年という歳月がもたらすバニラのような甘みと、静寂の森を思わせる奥ゆかしい余韻は、まさに大人のための贅沢な時間そのものです。
たまにはパンチの効いたタリスカーやアイラモルトをお休みして、日本の自然と職人技が織りなす繊細な味わいに身を委ねてみるのも悪くありません。もし運良くバーや酒屋さんで出会えたら、迷わずこの深みのある「森の香り」を体験してみてください。
今夜の晩酌ノオトはここまで。皆様も、素晴らしいウイスキーとの出会いがありますように!
