スコットランドの北西に浮かぶ、荒々しくも美しいスカイ島。ウイスキー好きにとって「スカイ島」といえば、スパイシーで潮気のある偉大なシングルモルト「タリスカー」を真っ先に思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし今、そのスカイ島から世界中のピート愛好家を熱狂させている新しい風が吹いています。それが、スカイ島で実に190年ぶりに誕生した第2の蒸留所「トルベイグ(Torabhaig)」です。
今回は、トルベイグが放つレガシーシリーズの第2弾「トルベイグ アルトグラン(Allt Gleann)」の魅力と、海のミルクと酸味が弾ける「牡蠣とトマトのカナッペ」が織りなす極上のマリアージュを、我が家の晩酌風景とともにお届けします。
我が家の晩酌ノオト:スカイ島に吹く新しい風
週末の夜、瀬戸内海で獲れた新鮮な牡蠣が手に入ったので、少しおしゃれなおつまみを作って書斎へ向かいました。テーブルに置かれた見慣れないボトルに、妻が興味津々の様子で近づいてきます。
スカイ島の新星「トルベイグ蒸留所」とアルトグラン
トルベイグ蒸留所は2017年に稼働を開始したばかりの、非常に新しい蒸留所です。古い農場の建物を美しく改修して造られたこの蒸留所は、「Well-Tempered Peat(よく鍛えられた、調和のとれたピート)」という独自の哲学を掲げています。
今回レビューする「アルトグラン」は、トルベイグの軌跡をたどる「レガシーシリーズ」の第2弾となるリリース。スモールバッチ(約30樽以下の少数樽のブレンド)でボトリングされており、若い原酒でありながら驚くほどの完成度を誇ります。
テイスティング ・レポート:トルベイグ アルトグラン

アルトグランは、ヘビーピーテッド麦芽を使用しながらも、決して荒々しくならず、非常に緻密に計算されたバランスを持っています。
香り(Nose)
グラスに注ぐと、まず焚き火のような香ばしくウッディなピートスモークがふわりと立ち上がります。続いて、バニラやショートブレッドのような甘く優しい香り、そしてスカイ島らしい微かな潮風とレモンのような柑橘のニュアンスが重なり合います。非常にエレガントで複雑なアロマです。
味わい(Palate)
口当たりは滑らかでオイリー。最初に麦芽の力強い甘みと、蜂蜜のようなコクが口いっぱいに広がります。そこから徐々に、上品なピートの煙たさや、ほのかな塩気、そしてフローラルな風味が顔を出し、若い原酒とは思えないほどの奥行きを感じさせます。
余韻(Finish)
バニラの甘い余韻とともに、海辺の焚き火を思わせるドライで心地よいスモークが長く続きます。ピートが強すぎず、非常にクリーンで洗練されたフィニッシュです。
【テイスティング総評】
タリスカー10年に比べペッパー系のスパイシーさは優しく、しかし原酒が若いというのもあるのか、ピーティさをより感じる「トルベイグ アルトグラン」。浜辺のBBQを感じるようなスモーキーさがとてもいいですね。
少し塩っ気がありつつもバニラの甘さと柑橘系のフルーティさ、余韻に僅かにりんごのような酸味を伴うフルーティな甘さとわずかにスモーキーさがとても心地よかったです。
おすすめの飲み方とペアリング
トルベイグ アルトグランのエレガントなピートを存分に味わうなら、まずはストレートでじっくりとその複雑な香りの層を紐解くのがおすすめです。
また、食中酒としてハイボールにすると、スカイ島らしい潮風のニュアンスが弾け、シーフードとの相性が格段に跳ね上がります。
ハイボール(イチオシ!):浜辺のBBQスモークが最高!
ストレート・ロック・ハイボールといずれの飲み方でもとても美味しく楽しめるのですが、やはりハイボールがオススメですね。
ドライなピートスモークが一番表に現れる飲み方で、そのスモーキーさが浜辺のBBQを思い起こさせる香りと味わいが最高です。ペアリングに焼いた肉や海鮮でハイボールがとても進みますね。
至高のペアリング:「牡蠣とトマトのカナッペ」

瀬戸内海の豊かなミネラルを含んだ「牡蠣」と、トルベイグの持つ「上品な潮気」は同郷のようにシンクロします。さらに、トマトのフレッシュな酸味がアルトグランのフルーティーな甘みを引き出し、ピートのスモーク香が全体をリッチな味わいへと昇華させる、まさに魔法のようなペアリングです。
トルベイグをオススメする方
- スカイ島のウイスキー(タリスカーなど)が好きで、新たな島の個性を体感してみたい方
- 薬品のような強烈なピートよりも、バニラのような甘みと美しく調和した「洗練されたピート」を好む方
- 牡蠣をはじめとする新鮮な魚介類に、とびきり合うピーテッドウイスキーを探している方
- 190年ぶりに誕生した新蒸留所の「レガシー(軌跡)」を、初期のボトルから追いかけてみたいウイスキー愛好家
まとめ

スカイ島に190年ぶりに誕生した第2の蒸留所が放つ「トルベイグ アルトグラン」。
ヘビーピーテッドでありながら、力任せではない洗練されたスモークと、バニラやフローラルな甘みが見事に調和したその味わいは、まさに「次世代のアイランズモルト」と呼ぶにふさわしい一本です。牡蠣の濃厚な旨味とトマトの酸味を合わせたカナッペとのペアリングは、ウイスキーの持つ海のニュアンスと華やかな甘みを極限まで引き出してくれる、素晴らしい組み合わせでした。
記事の執筆を終えトルベイグの今後のリリースに思いを馳せます。熟成期間が長くなりそれこそ10年熟成がリリースされると、もっとエレガントな味わいで楽しめるのでしょうね。今後のトルベイグの情報に目が離せません。
明日もまた、素晴らしいウイスキーとの出会いがありますように。乾杯。
