【マッカラン蒸留所】ウイスキーのロールスロイスと呼ばれる理由と異常な樽へのこだわり

【マッカラン蒸留所】ウイスキーのロールスロイスと呼ばれる理由と異常な樽へのこだわり

世界中のウイスキー愛好家から「シングルモルトのロールスロイス」と称賛され、圧倒的なブランド力と揺るぎない絶対的王者の地位に君臨する蒸留所があります。

それが、スコットランド・スペイサイド地方に拠点を置く「ザ・マッカラン(The Macallan)蒸留所」です。

贈答品や高級クラブの代名詞としても知られるマッカランですが、その名声は単なるブランドイメージで作られたものではありません。そこには、採算を度外視した「樽への異常なまでの執念」と、伝統を守りながらも革新を続ける圧倒的なウイスキー造りの哲学があります。

日頃はタリスカーやアイラモルトといった煙たいウイスキーばかりを好む私ですが、この絶対王者の放つ気品と説得力には常にリスペクトを抱いています。今回は、シェリー樽熟成の最高峰たるマッカラン蒸留所の歴史と秘密について、我が家の長男との晩酌風景とともにお届けします。

我が家の晩酌ノオト:長男と語る、シングルモルトのロールスロイス

週末の夜。たまには王道中の王道を味わおうと、洗練された美しいデザインの「マッカラン 12年 シェリーオーク」のボトルをテーブルに出していると、長男が興味深そうにグラスを持って向かいに座りました。

長男
長男
親父、そのボトル……ウイスキーに詳しくない俺でも名前くらいは知ってるよ。『マッカラン』って、めちゃくちゃ高級で有名なやつだよね?

みなみ
みなみ
その通り。よく知っていたな。マッカランは『シングルモルトのロールスロイス』なんて呼ばれるくらい、ウイスキー界における最高級のステータスシンボルなんだ。普段親父が飲んでるタリスカーのような煙たさとは対極にある、ひたすらに上品でリッチなウイスキーさ

長男
長男
ロールスロイスか! なんか飲む前から緊張するな(笑)。どうしてそんなに特別扱いされているの?

みなみ
みなみ
最大の理由は『樽(カスク)』に対する異常なまでのお金と時間のかけ方だよ。マッカランは、自社のウイスキーを熟成させるためだけに、スペインの森で木を育てるところから自分たちで管理しているんだ。ウイスキーの味わいの8割は樽で決まるって言われているんだけど、マッカランはその8割に文字通り命を懸けているんだよ

長男
長男
木を育てるところから!? そりゃあ別格扱いされるわけだ。その極上のシェリー樽ってやつがどんな味を生み出すのか、じっくり味わわせてもらおうかな

マッカラン蒸留所の特徴と歴史

スペイサイドの景観に溶け込む「革新的な新蒸留所」

1824年に政府公認蒸留所としてライセンスを取得したマッカランは、スペイサイド地方を流れる美しいスペイ川のほとりに位置しています。

長きにわたり伝統的な設備で稼働してきましたが、2018年、約200億円という巨額の資金を投じて「新蒸留所」をオープンさせました。スペイサイドのなだらかな丘陵地帯の風景に溶け込むように設計された波打つ緑の屋根の建築は、世界的な建築賞を多数受賞。ただの酒類工場ではなく、まるで近代美術館のような美しさを誇り、ウイスキーの未来を牽引するマッカランの姿勢を体現しています。

リッチな原酒を生み出す「最小のポットスチル」

広大で近代的な新蒸留所の中に並んでいるのは、スペイサイド地方で最も小さなサイズの蒸留器(ポットスチル)です。

マッカランは創業以来、この小さな直火焚きの蒸留器にこだわり続けています。スチルが小さいことで、アルコールの蒸気が銅としっかりと接触し、重厚でオイリー、かつ非常にフルーティーでリッチな「ニューメイク(蒸留したての透明なアルコール)」が生み出されます。この力強い原酒こそが、後述する濃厚なシェリー樽の風味に負けないしっかりとした骨格となります。

味わいの8割を決める「異常なまでの樽へのこだわり」

マッカランがロールスロイスたる最大の所以が、この樽へのこだわりです。

  • 自社管理のシェリー樽:スペイン北部の森でオークの木を伐採し、天日乾燥させ、樽に加工。そこに本物のシェリー酒を詰めて数年間寝かせ、ようやく「マッカランのための熟成樽」を完成させます。
  • 圧倒的なコスト:マッカランが樽にかけるコストは、他の一般的な蒸留所の数倍〜十数倍とも言われています。スコットランドのウイスキー産業全体で使われるシェリー樽の、実に大半をマッカラン系列が買い占めているほどです。

この極上のスペイン産シェリー樽で熟成させることで、ドライフルーツやチョコレート、甘いスパイスのような、マッカラン特有の深く濃厚な味わいが生まれます。

着色料を一切使わない「天然色(ナチュラルカラー)」

マッカランのボトルに満たされた美しい琥珀色や深いマホガニー色は、すべて100%樽から滲み出た天然の色です。

ウイスキー業界では、色味を均一にするためにごく微量のカラメル着色料を使用することが法律で認められており、多くの銘柄がそれを行っています。しかしマッカランは、「自然の樽がもたらす色こそが本物の証明である」という信念のもと、一切の着色を行いません。

味わいの核:「ザ・マッカラン 12年 シェリーオーク」

マッカランの数あるラインナップの中で、すべての基準点であり、世界中で愛され続けている大定番がこの「12年 シェリーオーク(Sherry Oak)」です。

  • アルコール度数:40%
  • 樽の構成:100%自社管理のスペイン産シェリーオーク樽
  • 香り:グラスに鼻を近づけると、濃厚なドライフルーツ(レーズン)や、お菓子に使うようなビターなチョコレートの香りが贅沢に広がります。続いて、上質なバニラや、ほんのり甘いシナモンのようなスパイスのアロマが鼻腔を心地よく満たします。
  • 味わい:口に含むと、まるでドライフルーツのコンポートを口にしたかのような、濃厚で深みのある甘みがじわっと広がります。驚くほどシルキーで滑らかな質感の中に、ジンジャーやウッドを思わせる上品なスパイス感が加わり、重厚ながらも決して飽きのこない完璧なバランスに仕上がっています。
  • 余韻:トフィーやドライフルーツの濃厚な甘みと、心地よいオーク樽の渋みが、まるで上質なオーケストラの演奏のように長く静かに続きます。

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まとめ

書斎で1人マッカランを楽しむ主人公のイメージ

圧倒的な資本力と、それを裏打ちする異常なまでの品質への執念。
マッカラン蒸留所が紡ぎ出すウイスキーは、華やかでエレガントな香りと、ドライフルーツやスパイスが織りなす濃厚な甘みで、初心者から熟練の愛好家までを等しく魅了します。

今回味わった「12年 シェリーオーク」の、時を経ても色褪せない圧倒的な完成度には、改めてシングルモルトの絶対王者たる風格を感じさせられました。近年は世界的な需要の高まりにより価格の高騰が続いていますが、それでも「一度は飲んでおくべき至高のスタンダード」であることに揺るぎはありません。

長男
長男
(ストレートをゴクリ)……うわぁ、これは本当にリッチだ。ウイスキーってこんなにチョコレートやドライフルーツみたいな甘い味がするんだね。普段親父が飲んでる煙たいやつとは全然違って、すごく優雅な気分になるよ

みなみ
みなみ
そうだろう。この濃厚なコクと華やかさこそがマッカランの真骨頂さ。煙たいピート香だけがウイスキーの深みじゃない、こういう樽の芸術とも言えるリッチな世界があることを長男にも知ってもらえて、今夜はいい酒が飲めたよ

これまでに私が飲んだ中でも最も上品で洗練されていると感じさせるような品質のウイスキー。気高く気品に溢れた風味が飲むものを魅了させるのでしょうね。

明日もまた、素晴らしいウイスキーとの出会いがありますように。乾杯。

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