スコットランド・スペイサイド地方の中心で、清らかな泉の水を使って造られるアベラワー蒸留所。その数あるラインナップの中でも、世界中のシェリー樽愛好家(シェリーボム好き)から熱狂的な支持を集める特別なカルト的ボトルがあります。
それが、ゲール語で「起源」を意味する「アベラワー アブーナ(Aberlour A’bunadh)」です。
19世紀の創業当時のウイスキー造りを再現し、厳選された最高級のスパニッシュオーク・オロロソシェリー樽のみで熟成。冷却濾過を行わず、樽出しそのままのカスクストレングス(約60度)でボトリングされるこのお酒は、まさに「究極のシェリー爆弾」と呼ぶにふさわしい圧倒的な重厚感を持っています。
今回は、この極上の甘みとパンチを持つアブーナに、妻が買ってきてくれた「濃厚でクリーミーなチーズケーキ」を合わせる、大人のための贅沢なデザートタイムをお届けします。
我が家の晩酌ノオト:妻のチーズケーキと、深紅のシェリー爆弾
週末の夜。夕食の後片付けを終えてリビングでくつろいでいると、妻が箱から慎重にケーキを取り出し、お皿に取り分けてくれました。
テイスティング・レポート

アベラワー アブーナは、スモールバッチ(少量生産)で造られており、ボトルにバッチナンバーが記載されています。バッチごとにアルコール度数が異なりますが、常に60%前後という強烈なハイプルーフを誇り、オロロソシェリー樽の恩恵を極限まで引き出しています。
香り(Nose)
グラスに注いだ瞬間から、レーズン、ダークチェリー、そしてプラムのような熟したフルーツの香りが部屋中に広がります。度数の高さを感じさせないほど甘美で、続いてビターチョコレート、シナモンやクローブのような重厚なスパイス感が現れます。
味わい(Palate)
口当たりは驚くほどオイリーでねっとりとしており、フルボディ。口に含んだ瞬間、濃厚なフルーツケーキやオレンジピール、ダークチョコレートの極上の甘みが爆発します。60度というアルコールの強烈なアタックはありますが、それを上回る圧倒的なシェリー樽の甘みと旨味が舌をコーティングし、心地よい刺激へと変わります。
余韻(Finish)
ビターチョコレートのほろ苦さと、ジンジャーのようなスパイシーな余韻が、喉の奥からお腹にかけてどこまでも長く温かく続きます。重厚でありながら、もう一口を求めてしまう魔力を持ったフィニッシュです。
【テイスティング総評】
これぞシェリーカスクの極致。半端なシェリー樽熟成を過去のものにしてしまうほどの、圧倒的な果実味とボディの厚みを持っています。ストレートで一口ずつ、時間をかけてその濃厚な液体と向き合うことで、ウイスキーが持つ「熟成の凄み」をダイレクトに体感できる傑作です。
おすすめの飲み方とペアリング
濃厚さを味わい尽くす「ストレート」と「加水」
アブーナの持つフルボディの質感を最大限に味わうなら、まずは「ストレート」で舐めるように味わってください。そして、常温のお水を数滴落とす(加水する)と、アルコールの刺激が和らぎ、隠れていたマーマレードやミルクチョコレートのような甘い香りが一気に花開きます。
至高のペアリング:濃厚でクリーミーなチーズケーキ

今回は、クリームチーズをふんだんに使った、ずっしりと濃厚なチーズケーキに、ストレートのアブーナを合わせてみます。
クリーミーなチーズのコクと酸味に、アブーナの持つダークフルーツとチョコレートの風味が覆い被さる。お互いの濃厚さがぶつかり合うのではなく、完璧なソースとして機能する、見事なスイーツ・マリアージュです。
アベラワー アブーナをおすすめする方
- レーズンやダークチョコレートのような、重厚なシェリー樽の風味が大好きな方
- アルコール度数60度前後の、骨太で飲みごたえのあるカスクストレングスを体験したい方
- チーズケーキやガトーショコラ、ドライフルーツと合わせて、極上の食後酒を楽しみたい方
- 昔ながらの製法で作られた、着色も冷却濾過もしていない「本来のウイスキーの姿」を味わいたい方
まとめ

圧倒的なパンチと、それを凌駕するほどの極上の甘みを持った「アベラワー アブーナ」。
濃厚なチーズケーキと合わせた時の、あのソースのように絡み合う至福の時間は、ウイスキーとスイーツが織りなすペアリングの無限の可能性を教えてくれました。
さて、キーボードを叩く音だけが響いていた部屋も、そろそろ「オフ」の時間です。
グラスに少しだけ残った深紅のアブーナに水を一滴だけ落とし、甘く開いた芳醇な香りに身を委ねながら、静かに更けゆく夜を楽しもうと思います。明日もまた、素晴らしいウイスキーとの出会いがありますように。乾杯。
