「好きになるか、嫌いになるか(You love it or you hate it)」
スコットランド・アイラ島のウイスキーの中でも、これほどまでに強烈な個性で飲み手を選ぶ銘柄は他にありません。それが「アイラの王」として君臨する「ラフロイグ(LAPHROAIG) 10年」です。
正露丸や消毒液に例えられる強烈なヨード香(薬品香)と、海藻を思わせる潮の香り。一口飲めばその圧倒的な個性の虜になるか、あるいは二度とグラスに近づきたくなくなるか。今回は、この極端で魅惑的なウイスキーに、地元・瀬戸内海で獲れた新鮮な「鯛の刺身」と濃厚な「雲丹醤油」を合わせる、究極の海のマリアージュをお届けします。
我が家の晩酌ノオト:妻の雲丹醤油と、アイラの王の洗礼
週末の夜。キッチンから小皿やお箸を用意する音が聞こえ、妻が嬉しそうにお刺身の盛り合わせを持ってリビングへやってきました。
テイスティング・レポート

チャールズ国王が愛飲し、シングルモルトとして初めて王室御用達(ロイヤルワラント)を授与されたことでも知られるラフロイグ。そのスタンダードである10年は、アイラモルトの荒々しさと気品を最もダイレクトに味わえる1本です。アルコール度数は43%(※国内正規品)。
香り(Nose)
グラスに鼻を近づけた瞬間、強烈なピートスモークと、海藻、そして海風を思わせる強烈なヨード香(薬品香)が飛び込んできます。しかし、その刺激的な香りの奥には、バーボン樽由来のバニラやハチミツのような、驚くほど丸みを帯びた甘いアロマが隠されています。
味わい(Palate)
口に含むと、まずはオイリーで滑らかな舌触りとともに、強烈な煙たさと塩気が口いっぱいに広がります。しかしその直後、麦芽のふくよかな甘みとバニラのコクが顔を出し、力強いスモークと美しいコントラストを描きます。「臭いのに甘い」という、ラフロイグ特有のクセになる味わいです。
余韻(Finish)
薬品を思わせるドライなヨード香と、海の塩気、そしてピートの煙がいつまでも長く、深く舌に残り続けます。
【テイスティング総評】
これぞアイラモルトの真骨頂。初めて飲む人はその強烈な個性に顔をしかめるかもしれませんが、二度、三度とグラスを重ねるうちに、煙の奥にある「強烈な甘み」に気づき、気がつけば手放せなくなってしまう。まさに「You love it or you hate it」を体現する、唯一無二の傑作です。
おすすめの飲み方とペアリング
香りを爆発させる「ハイボール」
ラフロイグの強烈な個性を最大限に活かしつつ、食事と合わせるなら「ハイボール」が圧倒的におすすめです。炭酸が弾けることでヨード香がさらに際立ち、口の中をスッキリと洗い流してくれます。
至高のペアリング:鯛の刺身に雲丹醤油

今回は、淡白な甘みを持つ瀬戸内産の鯛のお刺身に、濃厚な雲丹醤油をたっぷりと絡めて、ラフロイグのハイボールと合わせてみます。
雲丹の濃厚な磯の香りと、ラフロイグのヨード香が見事に同調。そしてピートの煙が白身魚の繊細な甘みを引き立てる、計算し尽くされたかのような完璧なマリアージュです。
ラフロイグ 10年をおすすめする方
- アードベッグやボウモアなど、アイラモルトのピートスモーク(煙たさ)が好きな方
- 「正露丸」や「消毒液」と表現される、強烈なヨード香を体験してみたい方
- 牡蠣や雲丹、白身魚のお刺身など、新鮮な海産物とお酒を合わせるのが好きな方
- 好き嫌いがはっきりと分かれる、圧倒的な個性を持ったウイスキーに挑戦したい方
まとめ

サイトに書かれた「You love it or you hate it」の言葉通り、ラフロイグは決して万人受けを狙うような媚びたお酒ではありません。しかし、鯛のお刺身と雲丹醤油という海の恵みと出会った時、その強烈な薬品香は最高の調味料へと姿を変え、私たちに驚きと感動を与えてくれました。
今夜はラフロイグをストレートで味わい、心地よいヨードの余韻に身を委ねながら、静かに更けゆく夜を楽しもうと思います。明日もまた、素晴らしいウイスキーとの出会いがありますように。乾杯。
