スコットランドに数ある蒸留所の中でも、ブレンダーたちから「魔法の小瓶」と称され、重宝され続けてきた名酒があります。
それが今回ご紹介する「リンクウッド 12年 花と動物シリーズ(Flora & Fauna)」です。
世界最大の酒類メーカーであるディアジオ社が、普段はブレンデッドウイスキーの原酒として使われる蒸留所のモルトを、そのシンボルとなる動植物のラベルで特別にボトリングした「花と動物シリーズ」。優雅な2羽の白鳥が描かれたこのリンクウッドは、フレッシュな青りんごやフローラルな香りが際立つ、極めて繊細で美しい1本です。日頃はタリスカーやアイラモルトのような煙たいウイスキーを愛飲する私ですが、今回はこの気品あふれるモルトをストレートで、香ばしい「アーモンドとアーモンドチョコ」に合わせる上質な晩酌風景をお届けします。
我が家の晩酌ノオト:長男と語る、白鳥が浮かぶ魔法の小瓶
週末の夜。静かになったリビングで、ボウルに入れたアーモンドとアーモンドチョコを用意し、美しいラベルのボトルを眺めていると、仕事から帰ってきた長男がダイニングチェアに腰を下ろしました。
テイスティング・レポート

フレッシュで華やかな香りを生み出すため、発酵時間を長く取り、大型の蒸留器でじっくりと蒸留されるリンクウッド。アルコール度数は43%でボトリングされており、冷却濾過をあえて緩めにすることで、原酒本来のオイリーな旨味を残しているのが特徴です。
香り(Nose)
グラスに鼻を近づけると、まず青りんごやマスカットを思わせるみずみずしいフルーツの香りが広がります。続いて、春の草花のようなフローラルなアロマと、ほんのりと香ばしいアーモンド、そして奥から優しいバニラの甘さが上品に立ち上がります。
味わい(Palate)
口に含むと、非常に滑らかで、少しトロッとしたオイリー(シロップのよう)な質感が舌を包み込みます。麦芽の優しい甘みと、フレッシュな果実の酸味、そしてかすかな樽由来のウッディなスパイス感が絶妙なバランスで口の中に広がります。ピート(煙たさ)は全くと言っていいほど感じません。
余韻(Finish)
甘さはスッと引き、青りんごの皮のような爽やかさと、ローストしたアーモンドのような心地よい渋み、そしてドライでクリーンな余韻が静かに長く続きます。
【テイスティング総評】
これぞスペイサイドの美酒、というべき完璧なエレガンスを持っています。華やかでフレッシュでありながら、口当たりにはしっかりとしたオイリーな厚みがあり、ただ飲みやすいだけのウイスキーではありません。ブレンダーたちがこぞってブレンドの骨格として欲しがる理由が、一口飲めばはっきりと理解できる、非常に完成度の高いシングルモルトです。
おすすめの飲み方とペアリング
繊細な香りをそのまま楽しむ「ストレート」
リンクウッドが持つ青りんごやフローラルな香りは非常に繊細です。そのため、まずは加水をせずに「ストレート」でじっくりと香りを拾い上げるのが最もおすすめの飲み方です。少し度数が強いと感じる場合は、グラスに数滴だけ常温の水を落とすと(トワイスアップの前の段階)、さらに花のような香りがフワッと開きます。
至高のペアリング:アーモンド&アーモンドチョコ
今回は、ウイスキーの風味に合わせて「素焼きのアーモンド」と「アーモンドチョコレート」を交互に合わせてみます。
アーモンドの香ばしさがウイスキーの余韻を伸ばし、チョコレートの甘みがモルトの奥底にあるバニラ香を引き出す。ストレートのウイスキーとじっくり向き合う夜に、これ以上ないほど贅沢で静かなマリアージュです。
リンクウッド 12年 花と動物シリーズをおすすめする方
- 青りんごやマスカット、フローラルな香りのウイスキーが好きな方
- アイラ系のようなスモーキーさは苦手で、繊細でエレガントなモルトを探している方
- ストレートでゆっくりと、ナッツやチョコレートと一緒に夜の時間を楽しみたい方
- ブレンダーが愛する「隠れた銘酒」や、ストーリー性のある美しいボトルを手元に置きたい方
まとめ

優雅な白鳥のラベルにふさわしい、気品と繊細さを兼ね備えた「リンクウッド 12年 花と動物シリーズ」。
普段はブレンデッドウイスキーの裏方として活躍する原酒ですが、こうしてシングルモルトとしてストレートで向き合うと、その圧倒的な実力とポテンシャルの高さに驚かされます。アーモンドやチョコレートを少しずつかじりながら、グラスの中でゆっくりと開いていく香りを堪能する時間は、大人だけの特別な贅沢です。
これは素晴らしい美味しさですね。ストレートで優しく広がる甘味がなんとも言えない贅沢時間にさせてくれます。晩酌後にほんの少しだけをグラスに注いでちびちびと舐める用に楽しんでみてください。
明日もまた、素晴らしいウイスキーとの出会いがありますように。乾杯。
