ウイスキーの聖地スコットランドにおいて、近年最も目覚ましいアプローチで世界中のピート愛好家(スモーキーウイスキー好き)の注目を集めている、気鋭の蒸留所があります。
それが、2019年に本格始動したばかりの「ラグ(Lagg)蒸留所」です。
フルーティーな銘柄として名高い「アラン(アランモルト)」を作るロックランザ蒸留所の姉妹蒸留所でありながら、そのコンセプトは真逆。アラン島南部に位置するこの蒸留所は、強烈なピートスモーク(泥炭香)を効かせたヘビードネイトなウイスキー作りに特化しています。
今回は、アイラモルトにも負けない力強いスモークを放つ新進気鋭の「ラグ」について、我が家の長男との晩酌風景を交えながら、その特徴と魅力を徹底解説します。
我が家の晩酌ノオト:長男と見上げる、アラン島南部からの「新世代の煙」
週末の夜。スタイリッシュで幾何学的なデザインが目を引く「ラグ」のボトルをテーブルに用意していると、長男が興味深そうに覗き込んできました。
ラグ蒸留所の特徴と歴史
1.アラン島に「スモーキーな原点」を取り戻す挑戦
ラグ蒸留所は、アラン島南部のラグという小さな村に2019年に設立されました。
アラン島ではかつて、密造酒時代にピートをふんだんに使った力強いウイスキーが主流でしたが、歴史の荒波の中でそのスタイルは途絶えていました。ラグ蒸留所は、アラン島の南部に「かつて存在した伝統的なスモーキーウイスキーの魂を現代に蘇らせる」という大きな使命を持って誕生したのです。
2. 強烈なピートの数値(フェノール値 50ppm)
ウイスキーの煙たさを表す指標に「フェノール値(ppm)」というものがあります。
ラグで使用される麦芽のフェノール値は、なんと50ppm。これはあの強烈な泥炭モンスターとして名高い「アードベッグ」や「ラフロイグ」とほぼ同等、あるいはそれ以上の数値です。アラン島の清らかな水を使用しつつも、骨格にはアイラ島にも引けを取らないタフなスモークを纏わせています。
3.独自の個性を生む「特注のポットスチル」
ラグのウイスキーが「ただ煙たいだけ」にならないのは、その美しい蒸留器(ポットスチル)に秘密があります。
職人によって特注された蒸留器は、ヘッドが太く、銅との接触がしっかり計算された形状をしています。これにより、ヘビーなピートをガツンと残しながらも、アラン島らしいクリーンでオイリーな心地よい口当たりを両立させることに成功しているのです。
味わいの核:「ラグ キルモリー・エディション」
現在、ラグの定番ファーストエディションとして通年流通しているのが「ラグ キルモリー(Kilmory)」です。
- アルコール度数:46%(ノンチルフィルター・無着色)
- 樽の構成:100%ファーストフィルのバーボンバレル
- 香り:グラスに注ぐと、鋭く香ばしいキャンプファイヤーのような煙が真っ先に鼻腔を抜けます。しかしその奥から、もぎたてのレモンや柑橘の皮、バニラの甘やかなアロマが爽快に広がります。
- 味わい:口に含むと、若々しくもトゲのない、驚くほど滑らかな質感。バーボン樽由来のクリーミーなハチミツやバニラの甘みに、温かみのあるチリペッパーのようなスパイス、そしてどっしりとした灰や土のピートが重なります。
アラン島発!ラグ キルモリーエディション本音レビューと鯵の南蛮漬けペアリング
アラン島の新蒸留所が放つピーテッドモルト「ラグ キルモリーエディション」を宅飲み本音レビュー!ハイランドピート由来のフルーティーな煙たさや、飲みやすい爽快ハイボールの味わいを徹底解説します。鯵の南蛮漬けと合わせる至高のペアリングで、妻と楽しむ至福の晩酌ノオトをお届けします。
晩酌ノオトまとめ

アランモルトの華麗な成功を背景に持ちながら、あえて真逆の「ヘビースモーキー」という荒々しい大地に挑んだ「ラグ蒸留所」。
まだ始動して数年の若い蒸留所ですが、そのリリースされるボトルの完成度の高さは、世界中のアードベギャンやピートファンを唸らせるに十分なポテンシャルを秘めています。年数を経て熟成が進んだとき、一体どれほど化けるのか、今から未来が楽しみでならない期待の星です。
明日もまた、素晴らしいウイスキーとの出会いがありますように。乾杯。
